いのうえシェイクスピア「鉈切り丸」

いのうえシェイクスピア「鉈切り丸」

脚本:青木豪

演出:いのうえひでのり

会場:東急シアターオーブ

観劇:2013年11月22日マチネ、2013年11月29日マチネ

<11/22感想>

 7月に「象」を見に行った時に大量のチラシをもらいましたが、この舞台もその中の一つでした。平清盛を見ていて源平モノに興味があったし、象で男役だった木村了さんが出ている事もあって見に行く事にしました。
時代は平家滅亡後の頼朝の時代です。大河ドラマ平清盛」よりは後の時代になります。でもセリフの中に後白河法皇源義朝安徳天皇平清盛という人物名は出てくるのでにやにやしてしまいました。頭のなかでは大河ドラマの役者さんが浮かんでいました。後白河法皇なんて男色坊主とか言われてたぞ。 元ネタの「リチャード3世」は全く知らなかったのですが、平清盛の知識だけでも話にはついていけました。範頼は頼朝の弟で、義経の兄。といっても義朝と女郎の子でせむしでびっこのかたわ。吾妻鏡に残されていた話とは違う、争いがあったのではないか?という話。

主演はV6の森田剛くん。最近は舞台に力を入れている事は知っていましたが「平清盛」の時忠以外の演技仕事は見たことがありませんでした。そんな状況で見に行って圧倒されました。凄い演技でした。前情報なしで範頼を見ても森田剛だって分からないと思います。メイクも凝っているので余計だけど、演技だけを見て森田剛だとは分からない。すっかり舞台の人になってしまったんだなと思いました(最近のV6も個人の道を選び始めた感じですなあ)私の知ってる森田剛はうたばんで、深夜にボーリングをやってるタレコミが入っていた男ですよ(笑)

範頼の兄の頼朝役は生瀬勝久さん。この舞台のコント部分はほとんどが生瀬さんが担当しているので退場後が少しキツイ。岡田将生を想像してはいけない。政子の尻にしかれっぱなし。また若村麻由美さんの北条政子がかっこいいんですよ。最終的に東鏡を書き直すように大江広元(モッティ)に命令するのは政子だもんな。それによって範頼のことが歴史から抹消されるわけだし。頼朝の家臣が渡辺いっけいさん演じる梶原景時木村了さん演じる和田義盛
失礼ながらこの舞台でいっけいさんが役者さんなんだなと実感しました。ドラマに出ているのは見たことあるけど、どうしてもワンナイの轟さんコントが印象的で。景時だって最初はいっけいさんだって分からなかったんだから。ヒゲあるし少し老けメイクしているから気がつかなくて…。そういや今更だけど、ガリレオでいっけいさんと生瀬さんて共演してましたよね。
実は目的のメインだった木村了さん。あまり見せ場が多い役ではありませんでしたが、一回裏切る景時とは違ってずっと忠義をつらぬいています。だからこそ範頼につけこまれちゃうんだけど。でも範頼というよりはきよ(巴)に利用されかけると言ったほうが正しいかな。

須賀健太は人にやさしくの頃から知っているので、大きくなったなあ的な感慨がありました。平家を滅亡させて、建礼門院の亡霊に悩まされていた。頼朝が官位をもらった義経に追討命令をだしたのは史実のようですが、実の兄弟で争うのだからせつない話。弁慶の死も同じ流れだったと思います。義経よかったです。神木君もそうだけど、義経ってこのくらいの役者さんなイメージなんですよね。生霊として出てくる建礼門院安徳天皇の母だから徳子だよね。生霊の役だというのもあるけど、麻実れい様のオーラがすごくて圧倒されました。基本的にずっと重い話ですが、頼朝と乳母(比企尼)がコントパートを担当していました。政子の尻にしかれているのはいい感じ。若村麻由美さんがかっこよかったー。殺陣も迫力がありました。こういう舞台見たことないので新鮮でした。血の描写もちゃんとありました。あと時代が時代なのでしかたないんですが、生首は意外とキツかった。

 

<11/29感想> 

先週の観劇の後、だんだんもう1回見たいという気持ちが出てきて、休みもチケットもどうにかなりそうだったので2回目行っちゃいました。S席もまだあったんですが、やっぱり金銭的に厳しくて。結局当日券A席で見てきました。この前と同じくらいの列の下手側で見てきました。
後白河法皇は色白の義経が好き。ホモホモ、男色坊主と言われてました。
・出家した奴ほどいい歌を詠むに西行を思い出す。
・範頼が途中刺客の殿に見えました。でも殿の方が少しマシかも。あの話だと範頼が頼朝と義経の対決を、あおっている
木村了さんの殺陣シーンが綺麗だというので、今回はオペラグラスでガン見してきました。了君は確かに綺麗だった。飛び蹴りもしてた。基本的に運動神経がいいんだろうね。クリフクライムをあんなに早くクリアしちゃうくらいだし。健太くんもね。
・巴の子は範頼の子だよね。
・後の人間は吾妻鏡が史実。範頼の存在はなかったことにされているけど、実際はこうだったのかもしれないと考えられる話だったと思います。

・救いようのない暗い話かもしれないけど、こういう話好きです。

 

平清盛がなかったらこの舞台に興味を持つこともなかったはずです。少しずつ歴史モノのおもしろさがわかってきたように思います。森田くんの演技も見られてよかったです。