魔法の万年筆

魔法の万年筆
作・演出:鈴木聡
音楽:本多俊之
会場:PARCO劇場
観劇:2007年5月15日マチネ&ソワレ

前回の「ヴァージニアウルフなんてこわくない?」が不完全燃焼だった為、どうしても2公演は行きたかった今回の舞台。しかし仕事や試験の都合で日を分けて行くのは無理と判断し、同じ日のマチネ&ソワレ観劇という強行日程で観劇することにしました。


パルコ劇場は「謎の下宿人」以来です。今回も看板があるかなと楽しみにしていましたが、吾郎さんの写真が使ってある看板ではありませんでした。残念。そしてパルコ劇場といえば、ロビーにいっぱいの花。今回もむせるくらい花が届いていました。席はマチネはZ列、ソワレはC列でした。Z列まで前の席との間に段差がないので少し見づらかったです。どちらかといえばC列の方が見やすかったです。

去年のヴァージニアウルフのような集中して見ないと分からない舞台も好きですが、今回のようにどちらかといえば気楽に見られる舞台も好きです。下宿人もヴァージニアウルフもセットは1つだけで、今回のように何回も舞台装置を変える舞台もまた新鮮でした。

○オープニング
パイロットと女性2人(おそらくセーラーとペリカーノではないかと)が登場して華やかなオープニング。

 

○デパートの屋上で2人の男
デパートの屋上で話すパーカーとウォーターマン。2人の立ち位置がマチネは目の前で舞台開始してすぐドキドキしてしまいました。パーカーの髪型はニックに引き続きデコ出しでした。散々「長い」と言われ続けた髪型でしたが、後ろは切ったみたいでわりとすっきりしてました。「髪型はあまり変えたくない」と言っていた吾郎さんでしたが、仕事で髪型を変えることはあまり抵抗がないみたいですね。ウォータマンに万年筆を買わせようとするパーカー。本当に口だけは達者な奴でした。全編を通じて、パーカーとウォーターマンのやりとりは好きでした。


○デパートの万年筆売り場
ここでパーカーはデルタと出会います。万年筆の試し書きをしてから、「あなたも書きませんか?」ってどう見てもナンパ(笑)すごく書きやすい万年筆を5ドルで買ったパーカー。これが魔法の万年筆との出会い。パーカーは(というか吾郎さんは)チラシでは右手でペンを持っているけど、舞台中では左手で書くんだなとここで気づきました。左利きを見るのが好きなので嬉しかったです。

 

○パーカーの家
デルタと付き合い始め、小説も入賞し絶好調のパーカー。デルタとの結婚も決まり、嬉しくてぴょーんぴょーんとジャンプするパーカー。ライブビデオだってそんなにジャンプする所を見たことがないので新鮮でした。そんなパーカーのモンブラン家の娘セーラーとのお見合いの話を持ってくるウォーターマン。しかも、もう一家が来ているという展開に。ここだけ見るとウォーターマンもけっこうヒドイことしているような。モンブラン家とのお見合いの話を聞いて驚きのあまり息をするのを忘れ倒れるパーカー。ここの倒れるシーンは見ていてけっこう怖いです。ウォーターマンに向かって後ろを向いたままばったり倒れるので、見ている方はウォーターマンがきちんとキャッチしてくれるか心配になります。阿南さんへの信頼がなかったらできませんね。いつのまにやらモンブラン一家(モンブラン、セーラー、パイロット)が登場。モンブランはパーカーに会った瞬間に帽子を投げて、その帽子をウォーターマンがキャッチして時計に帽子をかぶせるシーンがあります。ソワレの時にこの帽子が客席の方まで転がってしまい客席まで拾いに行ってました。阿南さんの身軽さに感動です。

いよいよセーラーとパーカーとのお見合いになって邪魔扱いされるパイロット。モンブランに「お前はその猿の腰かけにでも座ってろ」と言われてしまったパイロットがその腰かけに座るのですが。ここのパイロットが最高におかしくて、おもしろかったです!猿のこしかけは先がとんがっているので座るのには痛いわけですよ。最初は痛がっているパイロットもだんだん気持ちよくなってきたようで
パ「ケツって凄いよ。自分で気持ちいいとこを探すんだよ。これって文学的なことだと思うんだよ」
モ「パイロット、静かにしないか。お前の話は分かりずらい」
ここのパイロットがマチネは目の前にいるわけです。もうパーカーそっちのけでパイロットばかり見てました。ソワレでは目の前でもないのにパイロットに目が行くし(笑)ここで河原さんのファンになりかけました。このモンブランパイロットに「お前の話は分かりずらい」と言ったあたり、マチネでは明らかにモンブランが笑っていたような気がしました。あとパイロットの胸ポケットに付いていたコサージュみたいなものが取れてしまって、セーラーが付けてあげてました(これもマチネ)


○教会にて
教会でベールと手袋を持ってお祈りをするデルタ。そこへ挨拶の練習をしながら現れるウォーターマンウォーターマンはセーラーとパーカーの結婚式の挨拶の練習をしていたのでした。ここでセーラーとの結婚を決めたパーカーとデルタが出会ってしまうのです。見ているこっちもドキドキ。このあたりからパーカーけっこう嫌な奴になってきます。

 

モンブラン
モンブランが亡くなって3年後。パーカーはどんどん傲慢で嫌な奴になっていきます。
モンブラン家の伝記を作る為にペリカーノが取材をしています。このペリカーノの声を前にどこかで聞いたことあるなと思ったのですが、下宿人のえーこちゃんでした(三鴨さん)役者名だけではピンとこなかったです。義理の弟を買収しているし、魔法の万年筆を失くしたからと小説も書かない。ここで熊の置物で遊ぶシーンがあって(経緯は忘れてしまいました)熊の置物に思わず下宿人デジャビュが(笑)あの熊の置物のエピソードも好きでした。とうとうバカンスと称してペリカーノと出かけるパーカー。ここだったかな~、ソファの上でパーカーとペリカーノが抱き合うのって。あれを見てヴァージニアウルフの足元におよばないなーと思ってしまいました(汗)
一方、モンブランの残した遺言に納得できないセーラーは降霊術にハマり、なんとかモンブランの本音を聞きだそうとする。ここでもモンブランもおもしろかったです。セーラーの使った粉が安かった為に「とっとこ」と口から出てしまうし、そもそも亡くなった理由もなんか変だし(笑)実はパイロットに頑張って欲しいが為にあの遺言を残したモンブラン。そしてパイロットのポケットにはパーカーの魔法の万年筆が。

 

休憩。
抽選で2名に万年筆が当たる抽選会がありました。当たった人いいな~。


第2幕
第2幕からだいぶ記憶があやしいのでまとめて感想。

パーカーに裏切られたショックから男になってしまったデルタ。誰だか全く気づかなくて、エルバンに「デルタ」と呼ばれた時に初めて気づきました。ここまで演じわけられるのって凄いです。一方パーカーはバカンスから帰ってきて家の雰囲気がおかしいことに気づきます。なんとパイロットがベストセラー作家となっていたのです。自分も小説を書こうとするもうまくいかない。エルバンという万年筆職人がいることを知り、その店に向かいます。ここの茶色のロングコートは明智小五郎を思い出しました。それ以上に黒のロングコートも似合ってました。

 

(あとになって感想のレポートを整理したら、第2幕途中までしか書いていませんでした。これ以上書くのは今となっては厳しいので中途半端ですみません)

 

<公演直後に書いた観劇メモ>
・Z列はいきなり目の前にパーカーでした。
・河原さんのファンになりそうでした。猿の腰かけの部分が最高でした。
・パーカーはオールバックのデコ出しの髪型。髪は切った模様。後ろは少しすっきりしてました。
ウォーターマンの阿南さんも素敵でした。パーカーとのやりとりがよかったです。
モンブランは変な人でした。死に方も含め。
・というか、モンブラン家全体が何か変。
ペリカーノ役の三鴨さんはどこかで前に見たなーと思っていたら、下宿人のえーこちゃんでした。今回もなかなかキワドイ衣裳でした。
・パーカーは嫌な奴というより、根拠のない自信に満ちている男
ウォーターマンもある意味ヒドイ?パーカーがデルタと結婚することを知ってて、セーラーとの結婚話を進めてしまうのだから
・パーカーは左手で書いてました。ビラは右手でペンを持っていたので意外でした。でもあれだけ書くシーンがあったら左手で書くか。
・パーカーの衣裳は黒のロングコートが好きです。
・茶色のコートとベージュの帽子は明智みたいでした。
・そんなに帽子をかぶっているシーンは多くないよね?(ワイドショーより)
・セーラーと結婚した後のパーカーはそれまでのパーカーと違うよね。あまり今までの吾郎さんの役にはない感じ。ぜいたくしきって嫌な奴。
・ラストにパーカーがパイロットに撃たれてしまうのが意外でした。デルタとの仲は元に戻らないと思ったけど、まさか死んでしまうとは。
・で、最後の歌はありなんでしょうか?(笑)一応、鈴木脚本では「ホシに願いを」で歌っていますけど。
・でも、あれでパーカーが死んで終わりだったら暗い終わり方になっちゃうから良かったかも
・一番笑いを取っていたのはモンブランだったと思う。
・ソワレではモンブランが投げた帽子をウォーターマンがうまくキャッチできなくて客席まで拾いに行ってました。阿南さんの身軽さに感動。
・あと後半でセーラーのスカート&コートが靴にひっかかるというアクシデントがありました(これもソワレ)
・マチネではセーラーとパーカーのお見合いシーンで明らかにモンブランが笑ってました。「お前の例えはわかりづらい」のあたり。
パイロットのコサージュが取れていたのをセーラーが直してました(マチネ)
・ぴょーん、ぴょーんはよく跳ねてました。SMAPライブより跳ねていたような気がします。
・パーカーとペリカーノがソファで抱き合うシーンはヴァージニアウルフのニックとマーサの足元にも及びませんね(笑)
・デルタのエピソードは本当に切ないです。
・万年筆を取り合うシーンがおもしろい。「キックしてキャッチ」が好き
・個人的には2幕のパーカーの方が好きです。特にデルタが男になったことに気づいたあたりから。
・久世さんは元宝塚という感じでした。降霊会のシーンは怖いけどおもしろいので好きです。
・ある意味パイロット、セーラーもかわいそうではあるんですよね。
・最後のパイロット&セーラーは一歩間違っちゃった感じ。万年筆の為に人を撃ってはいけないと思うのです。
・多分パーカーはそのことに気づいたのだと思います。
・熊の置物のエピソードは下宿人を思い出してにんまり(笑)鈴木さん熊の置物好きですね。
・最後まで見て思うことは、デルタとの結婚が決まったときに一瞬パーカーが歌いますが、その後に「ミュージカルじゃないから歌わないけど」と言ってます。これは最後への前振りでしょうか?
・最後の銃は本当にびっくりしました。会場全員が息を飲んだと思いました。
・そういうシーンで客席が一体になるのが舞台の醍醐味だと思います。
・ラストの歌はマチネで見た時はよく理解できないまま終わってしまいました。ソワレの方が少し落ち着いて見られたかも。それでも銃の音にはびっくりするんですよね。
・ちなみに歌詞は全く覚えていません(汗)
・セット転換の時に流れる曲は歌詞がおもしろかったです。